バセドウ病患者(治療初期)の方はコロナに気を付けよう。理由は以下、甲状腺学会に記載があるように、コロナ等により、甲状腺に強いストレスがかかると、甲状腺クリーゼという非常に危険な状態になる可能性があるからです。コロナが悪化するのではなく甲状腺の悪化が懸念されるのです。
以下、日本甲状腺学会より引用させていただきました。
1『甲状腺クリーゼの診断基準(第2版)』
定義
甲状腺クリーゼ(Thyrotoxic storm or crisis)とは、甲状腺中毒症の原因となる未治
療ないしコントロール不良の甲状腺基礎疾患が存在し、これに何らかの強いストレス
が加わった時に、甲状腺ホルモン作用過剰に対する生体の代償機構の破綻により複
数臓器が機能不全に陥った結果、生命の危機に直面した緊急治療を要する病態を
いう。
必須項目
甲状腺中毒症の存在(遊離 T3 および遊離 T4の少なくともいずれか一方が高値)
症状(注1)
- 中枢神経症状(注2)
- 発熱(38 度以上)
- 頻脈(130 回/分以上) (注3)
- 心不全症状(注4)
- 消化器症状(注5)
確実例
必須項目および以下を満たす(注6)。
a.中枢神経症状+他の症状項目1つ以上、または、
b.中枢神経症状以外の症状項目 3 つ以上
疑い例
a.必須項目+中枢神経症状以外の症状項目2つ、または
b.必須項目を確認できないが、甲状腺疾患の既往・眼球突出・甲状腺腫の存在
があって、確実例条件の a または b を満たす場合(注6)。
(注1)明らかに他の原因疾患があって発熱(肺炎、悪性高熱症など)、意識障害(精
神疾患や脳血管障害など)、心不全(急性心筋梗塞など)や肝障害(ウイルス性肝炎
や急性肝不全など)を呈する場合は除く。しかし、このような疾患の中にはクリーゼの
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誘因となるため、クリーゼによる症状か単なる併発症か鑑別が困難な場合は誘因に
より発症したクリーゼの症状とする。
このようにクリーゼでは誘因を伴うことが多い。甲状腺疾患に直接関連した誘因とし
て、抗甲状腺剤の服用不規則や中断、甲状腺手術、甲状腺アイソトープ治療、過度
の甲状腺触診や細胞診、甲状腺ホルモン剤の大量服用などがある。また、甲状腺に
直接関連しない誘因として、感染症、甲状腺以外の臓器手術、外傷、妊娠・分娩、副
腎皮質機能不全、糖尿病ケトアシドーシス、ヨード造影剤投与、脳血管障害、肺血栓
塞栓症、虚血性心疾患、抜歯、強い情動ストレスや激しい運動などがある。
(注2)不穏、せん妄、精神異常、傾眠、けいれん、昏睡。Japan Coma Scale (JCS)1
以上または Glasgow Coma Scale (GCS)14 以下。
(注3)心房細動などの不整脈では心拍数で評価する。
(注4)肺水腫、肺野の50%以上の湿性ラ音、心原性ショックなど重度な症状。New
York Heart Association (NYHA)分類 4 度または Killip 分類 III 度以上。
(注5)嘔気・嘔吐、下痢、黄疸(血中総ビリルビン > 3mg/dl)
(注6)高齢者は、高熱、多動などの典型的クリーゼ症状を呈さない場合があり
(apathetic thyroid storm)、診断の際注意する。
また、基本的にバセドウ病は甲状腺機能が正常ではない状態である為、基礎疾患という扱いになります。
下記、厚生労働省HPのリンク内15スライド目をご参照ください。キーワードを「甲状腺」として検索すれば該当箇所に移ります。
厚生労働省HPリンク先↓
<https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/dl/infu091028-02.pdf>
つまり、バセドウ病患者の皆様はコロナに限った話しではありませんが、基本的に感染症に気をつけなければいけません。また、私のようにバセドウ病にかかって間もない人や、薬の効果がまだ出ていない人、薬の副作用が出てしまった人等、症状や状態が安定していない人が多いと思います。
3か月以上、薬物療法によりホルモンが安定している人でも勿論油断は出来ないですが、治療初期の段階の方は特にインフルエンザやコロナには注意が必要です。自分達で出来る予防策は勿論の事ですが、周囲の人もバセドウ病患者の方への理解をいただきたいですね。
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